Life must go on

旅行と舞台とパンと読書とkindleなど、好きなものについてつらつらと綴っていきます。

CHESS THE MUSICALとDealer's Choice

さて、本日もミュージカルについて。ただ今回は、出演者のあれやこれやではなく、ふと共通したことに気づいて思ったことを綴ろうと思います。

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CHESS THE MUSICALはBroadwayで転けた後にコンサートとして日本でも2回公演が行われましたが、ミュージカルとしては日本初演。大阪での1週間という公演期間になんとか滑り込んで観劇してきました。このミュージカルの『Anthem』という曲は様々な人に歌われてきたので、耳にした方も多いのではないでしょうか。

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(一番好きなJohn Owen-JonesのAnthemを張り付けておきます。)

 

今回はキャストに田代万里生くんの名前を見たときから、仕事の都合がつかないものかやきもきして過ごしていましたが、大阪のシアタードラマシティーは会場が狭く、公演2週間前に取ったチケットでも18列目と、オペラグラスなしでもはっきりと見ることができました。

 

さて、田代万里生くんは今年の2月に活動休止になった男性ボーカルグループ『ESCOLTA』のメンバーで、絶対音感を持ち、外れた音を聞くと、絵具の様々な色が混じってグレーのような色が見えるというエピソードがあることからも、安心して歌を聴くことができるくらいに歌が上手いのです。そして何より勉強熱心で、今回もCHESSのアービター役に抜擢されてから、まずはルールも知らないチェスについて学ぼうと本を数冊購入したけれど、周りのスタッフに聞くと、「俺も知らない」と言われたと笑い話として話していたようです。

 

このエピソードで、はっとしました。以前ロンドンの大学で単位履修生としていくつか講義を受けた中で、Patrick MarberのDealer's Choiceという作品を取り上げ、様々な角度から分析するというものがありました。Dealer's Choiceは6人の男性が親子のあり方などについて、ポーカーをしながら会話を繰り広げる作品で、日本でも公演されたそうです。タイトルからもわかるように、作品にはポーカーが必須です。でも果たして観客側にポーカーの知識が必要なのか、という問いに90分間のセミナーで語り尽くしたように記憶しています。結論としては、多少分かりにくい言葉もあるかもしれないが、ポーカーを使って描きたかったものは、ポーカーの世界ではないということに落ち着きましたが、非常に面白い議論でした。当時のメモがでてきたら、他のアイディアも紹介したいくらいです。

 

Dealer's Choice (Modern Classics)

Dealer's Choice (Modern Classics)

 

 

そして今回のCHESS。私は全くチェスのルールを知りません。東西冷戦の象徴としてよくチェスか用いられるということも、パンフレットを読んで初めて知りました。チェスの大会の場面ではあるけれど、ルールではなく、チェス盤に乗っている駒さえ意識できれば、運命に翻弄される人生に共感、もしくは自己の生き方と重ねることができる作品だと感じました。